2026.09.18

案件の情報は紙、スケジュールはホワイトボードとLINE WORKSなど——。内装仕上・リフォーム業を営むルームイン金田有限会社様では、日々の業務に必要な情報が複数の場所に分散し、経営層や総務がリアルタイムな進捗を掴めない状態が続いていました。顧客からの問い合わせにすぐ答えられないこともあったといいます。
同社は弊社の支援のもと、案件管理・予定・作業日報・製造日報をkintoneに集約。約6カ月の期間をじっくりとかけて全社8名が使うシステムを構築しました。本記事では、紙運用の何が課題だったのか、どのようなアプリ構成にしたのか、そして導入後に現場で何が変わったのかをご紹介します。
会社名:ルームイン金田有限会社様
業種:内装仕上・リフォーム業
従業員数:8名程度
導入前、同社の業務課題は「情報が1カ所にまとまっていない」という一点に集約されていました。
■ 案件管理:紙が膨大になり、進捗も過去案件も追えない
案件管理には複数種類の紙が使われていました。案件管理書類(顧客情報や施工内容など)は、担当者のデスクや棚に保管される運用です。件数が積み上がるにつれて紙の量が膨大になり、各案件の進捗状況を確認したり、過去案件をリサーチしたりするたびに手間取っていました。その結果、顧客からの問い合わせにスムーズに対応できないこともあったといいます。
■ 見積・帳票:システムはあるが、案件の進捗が見えない
見積などの帳票作成は専用システムで行っていました。しかし、そのシステム上では案件の進捗状況が分からず、また紙から転記する作業が発生していました。「システムはあるのに、紙を見ないと分からない」という状態です。
■ スケジュール:外出先から確認できない
スケジュールは事務所のホワイトボード、紙の予定表、LINE WORKSの3つで管理されていました。翌日分の予定については、別途、予定表用紙を作成していました。ホワイトボードが基点になるため、現場に出ている従業員は外出先から予定を確認できません。
■ 日報:畳の製造日報も紙
制作日報(畳)も紙で運用されていました。LINE WORKSが日報替わりに使われている業務もあり、記録の置き場所が業務ごとにばらついていました。
■ 誰が困っていたか
特に困っていたのは、案件の進捗を確認したい経営層と、問い合わせ対応や帳票作成を担う総務でした。案件情報・日々の活動・スケジュールが従業員間で共有されておらず、担当者に聞かなければ分からない場面が多く発生していました。
■ kintoneを選んだ理由
・ITに詳しくない人でも使いやすいこと
・リアルタイムに情報共有ができること
・社内ポータルのようなシステムを保有していなかったこと
全社8名・現場スタッフを含む体制で使うシステムであるため、「誰でも触れるか」が最初の条件でした。





業務フローの変化
【案件管理|導入前】
問合せ → 総務もしくは現場担当者が紙で注文書(案件管理書)を作成 → 総務が紙を見て見積作成 → 受注 → 作業 → 紙を見て請求業務
【スケジュール管理|導入前】
事務所のホワイトボードに記入/LINE WORKSで共有 → 翌日分は別途、予定表用紙を作成
【導入後】
問合せ → 見積 → 受注 → 作業 → 請求情報 までをkintoneで一元情報管理。図面や取引先との注文資料などもkintoneに添付します。請求作業や帳票作成そのものは引き続き専用システムで実施しています。
スケジュール管理もkintoneでの一元管理を実施。チャットツールはLINE WORKSを継続利用し、案件に関する社内のやり取りはkintone案件管理アプリのコメント機能を活用する、という住み分けにしています。
■ 帳票作成システムとの連携について
帳票作成システムとのCSV連携は、システムの仕様上の理由で現状では効率的な連携が実現できていません。現状は、案件管理アプリ(内訳アプリ)の明細を確認して帳票作成システムへ転記する運用です。ただし内訳アプリの明細を帳票作成システムと同様の形式にしているため、紙から転記していた頃に比べればコピー&ペーストが使える分、入力工数は減っています。
■ 「同一顧客・複数案件」を一元的に見られる形にした
導入前は、同じ顧客の案件であっても紙の案件管理書類が分かれており、各担当者ベースで業務が進んでいました。そのため、問い合わせ対応をする総務や、状況を把握したい経営者が、リアルタイムな進捗を掴めていませんでした。
そこで、1つの顧客に対して各サービスの案件が同時に発生した場合でも一元的に管理できるよう、お仕事管理アプリ(主案件)と各サービスの詳細内訳アプリを分ける構成としました。
■ 案件とスケジュールを紐づけた
案件管理アプリと予定アプリを紐づけることで、「どの案件に対する予定なのか」が分かるようにしました。予定だけが単独で存在する状態を避けています。
■ 情報を「資産」にするための紐づけ
案件管理と各種日報を顧客マスタに紐づけました。これにより、記録が単一データで終わらず、情報資産として後追いや分析ができる体制を整えています。
■ 他社様プラグインで対応できない要件は自社カスタマイズ
他社様の有料プラグインでは対応できない要件がいくつかあったため、YAMABEの自社カスタマイズで実装しました。
■ 苦労した点
最も時間を要したのは、現状の業務フローの洗い出しと、各従業員の希望とシステム的な仕様・制限を折衷することでした。少人数でも担当業務が分かれているため、それぞれの「こう使いたい」をすり合わせる工程が必要でした。
■ 定着のために行ったこと
・提案段階/開発中/開発後のそれぞれの局面で、役員および現場担当者と綿密に打合せを実施
・アプリ完成時に全社従業員様向けの説明会を開催
・対面での要望ヒアリングと修正対応を複数回実施
・電話やチャットでのやり取りを頻繁に行い、軽微な修正を続けながら使いやすいシステムに育てている
■ 導入期間
受注から納品まで約6カ月。
■ ミスの削減
・紙からの転記ミスの削減
・スケジュール共有漏れの削減
・案件進捗の確認漏れの削減
■ 業務の変化
「まずはkintoneを見る」という習慣が社内に根付き始めています。
また、kintone導入に合わせて現場従業員へタブレット端末を配布したため、現場でその場で入力できる、外出先でも情報を共有・閲覧できる、という変化が生まれました。ホワイトボードを見に事務所へ戻る必要がなくなった形です。
■ 現場の反応
導入について、最初は抵抗感もあったといいます。しかし綿密に打合せを重ねていくうちに、システムへの要望や現状の困りごとを従業員側から挙げていただけるようになりました。
打合せの段階から情報交換ができていたため、アプリ納品後の利用開始はスムーズでした。経営層による導入推進もあり、「まずは使ってみて、そこからブラッシュアップしていく」という進め方ができています。
■ 管理・経営面の変化
現場従業員を交えた打合せと現場従業員様向けのタブレット配布の効果もあり、導入から浸透までは想定よりも早く進めることができた、というお声をいただいています。各従業員の活動内容や案件の進捗を追いやすくなった点も評価いただきました。
■ 残っている課題
前述のとおり、帳票作成システムとのCSV連携は先方システムの仕様により実現できておらず、現状はkintoneの情報を帳票作成システムへ転記する運用です。この部分については「効率が劇的に上がったとは言えない」というのが率直な評価です。
同社では今後、日報や案件の情報を「資産」として分析・活用し、営業活動や新規展開につなげていく方針です。顧客マスタと紐づけた設計は、この段階を見据えたものでもあります。
既存アプリのブラッシュアップにとどまらず、他業務領域のkintone化を一緒に進めていければと考えています。
また、現在は転記運用となっている帳票作成システムとの連携についても、引き続き改善の余地を探っていく領域です。
ルームイン金田有限会社様の事例は、紙・ホワイトボード・LINE WORKSに分散していた情報をkintoneに集約したことで、これまで見えていなかった日々の動きや案件の進捗が、社内の誰からも見える状態になった—という変化が本質です。
ポイントは3つあります。
1. アプリ構成を業務の実態に合わせた
「お仕事管理(幹)+内訳(枝葉)」という2階層の案件管理により、同一顧客の複数サービス案件を一元的に把握できる形にしました。案件・予定・日報・顧客マスタをすべて紐づけたことで、記録が情報資産になっています。
2. 現場が入力できる環境をセットで用意した
システムだけでなく、現場従業員へのタブレット端末配布を合わせて実施しました。現場で入力できなければ、結局は事務所での転記が残ります。
3. 「作って終わり」にしなかった
提案段階から開発後まで綿密に打合せを重ね、全社説明会を実施し、納品後も電話・チャットで軽微な修正を続けています。最初は抵抗感があった現場から要望が出てくるようになったのは、この積み重ねの結果です。
株式会社YAMABEでは、業務フローの洗い出しから、標準機能で足りない部分のカスタマイズ、導入後の定着支援までを一貫してご支援しています。「社内の情報が複数ツールに分散している」という状態にお心当たりがあれば、まずは現状の業務フローを一緒に整理するところからご相談ください。